特殊印刷
公開日:2026.1.2
黒い紙に「白」が沈んで失敗していませんか?「銀活版」と「白箔」で描く、透けない・読める・美しい印刷術

「黒い紙に白で印刷したい」というオーダーで、仕上がりがグレーのように沈んでしまった経験はありませんか?本記事では、透過しやすい白インクの弱点を克服するための、プロが選ぶ2つの正解「高隠蔽シルバー活版」と「顔料白箔」について解説。それぞれのメリット、コスト感、そして失敗しないためのデータ作成のコツを、創業以来、活版と箔押しに向き合ってきた牛窓活版工房がご紹介します。
理想の「黒×白」が、なぜグレーになるのか?
「ブランドのイメージに合わせて、真っ黒なカードに真っ白な文字を入れたい」
アパレルやジュエリーブランドのデザイナー様から、こうしたご相談を頻繁にいただきます。漆黒のファインペーパー(NTラシャやディープマットなど)が持つ重厚感は、他には代えがたい魅力があるからです。
しかし、いざ仕上がった名刺を見て、「あれ?白くない……」と落胆されたことはないでしょうか。
その原因の多くは、通常の「白インク」の透過性にあります。

オフセット印刷や通常の活版インクの「白」は、実は半透明に近い性質を持っています。そのため、黒や濃紺といった強い地色を持つ紙に印刷すると、インクが紙の色に負けて透けてしまい、結果として「薄いグレー」のように発色が沈んでしまうのです。
「もっと厚盛りすれば白くなるのでは?」と思われるかもしれませんが、インクを厚く盛れば細部が潰れ、乾燥不良や裏写りの原因にもなります。
私たち牛窓活版工房では、こうした「色の沈み」を防ぎ、濃色紙の上でもクッキリとした視認性と美しさを両立させるために、2つの具体的な解決策をご提案しています。
解決策1:実用的な「白」の代役。「高隠蔽シルバー」という選択
まず最初にご提案するのが、「活版印刷用のシルバーインク」を使用する方法です。

「白にしたいのに、なぜ銀?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、活版用のシルバーインクは、通常の白インクに比べて顔料の隠蔽力(下の色を覆い隠す力)が格段に高いという特性があります。
視認性の高さ: ギラギラした鏡のような銀ではなく、少しマットで鈍い光沢を持つ落ち着いた銀色です。これが黒い紙の上に乗ると、光を反射して文字がしっかりと浮き上がり、「白」の代用として十分な可読性を発揮します。
活版ならではの風合い: 金属版(Mg版)を使用し、紙に圧力をかけて印刷するため、文字部分がわずかに窪みます。この「凹み」と「銀の光沢」が相まって、平坦な白インクにはない物質的な存在感が生まれます。
「文字情報をしっかり読ませたい」「シックで落ち着いた高級感が欲しい」という場合には、白インクよりもシルバー活版の方が、結果としてご満足いただけることが多いのです。
解決策2:圧倒的な「純白」。デザインを際立たせる「顔料白箔」
二つ目の解決策は、インクではなく「箔(ホイル)」を使用する方法です。特に「顔料箔(ピグメントホイル)」と呼ばれる種類の白い箔を使用します。

完全な隠蔽性: 箔押しは、熱と圧力でフィルム状の素材を紙に転写する加工です。 インクのように染み込むことがないため、紙の地色を完全にシャットアウトします。修正液で書いたような、パキッとした混じりけのない「純白」を表現できます。
デザイン的なインパクト: ロゴマークやキャッチコピーなど、視覚的に強く訴求したい部分に最適です。
ただし、箔押しには「細かすぎる表現が苦手」という特性があります。活版印刷以上に、微細な文字や線(8pt未満や0.1mm以下の線など)は潰れやすいため、デザイン時には注意が必要です。

プロとして「お断り」していること
私たちは、お客様に長く愛される印刷物をお届けしたいと考えています。そのため、技術的に不安定な組み合わせについては、正直にリスクをお伝えし、代替案をご提示させていただくことがあります。
例えば、「デジタル印刷のホワイトトナーの上に、活版印刷や箔押しを重ねる」という仕様です。
トナー(粉)の上にインクや箔を乗せると、定着が悪く、後からパリパリと剥がれてしまうリスクが高いため、基本的にはお断りしています。その代わりとして、先述したシルバー活版や顔料箔をご提案しています。
本番前に「試し刷り」ができる安心感
「シルバーといっても、どのくらいの銀色なのか?」「箔押しで細かい文字が潰れないか?」
こうした不安を解消するために、牛窓活版工房では「加工テスト(色校正)」の制度を設けています。

活版印刷の場合:
本番と同じ紙、同じインクを使って、1色あたり5,200円(名刺・カードサイズ)からテスト印刷が可能です。箔押しの場合:
箔押しの場合は別途「箔押し版代」が必要になりますが、作成した版は本番でもそのまま使用できます。また、一度お作りいただいた箔押し版は2年間保管いたしますので、将来的な増刷の際もスムーズです。
最後に
黒い紙への印刷は、紙選び、インク選び、そして加工技術の掛け合わせで、その印象が劇的に変わります。
「思っていたのと違う」という失敗を避けるためにも、デザインデータをお持ちであれば、ぜひ一度ご相談ください。「読ませるならシルバー」「魅せるなら白箔」といった視点から、最適な仕様をご提案させていただきます。
あなたのブランドイメージを、確かな技術で形にするお手伝いができることを楽しみにしています。
黒い紙への印刷で迷ったら、まずは「加工テスト」で発色をご確認ください

お問い合わせ・お見積もりはこちら
https://www.fujii-print.com/case/lp/dark-paper-high-contrast-printing
(会社紹介)
フジイ印刷株式会社(牛窓活版工房)
https://www.fujii-print.com/kappan
岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓4947-17
創業60年以上の印刷会社。ドイツ・ハイデルベルグ社の活版印刷機や箔押し機を稼働させ、熟練の職人が一枚一枚丁寧に仕上げます。
この記事の監修者
藤井 聡|代表取締役
業務印刷の未来を探求し、中小製造業向けのALL IN ONEクラウドERPやAIO向けLP制作ツールをリリース。2019年に社内の事務職ゼロを達成し、クラウド実践大賞岡山大会で発表。京セラの稲盛和夫氏とゲーム作家の米光一成氏の考え方を取り入れた会社の仕組みづくりを推進中。
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