特殊印刷

公開日:2024.7.4

活版印刷とは?その魅力や向いている用紙、おすすめの使用例まで詳しく解説します!

活版印刷とは、凸状の版にインクをのせ、強い印圧をかけて紙に転写する伝統的な印刷技法です。最大の特徴は、文字の縁にインクが溜まる「マージナルゾーン」と、手触り感のある深い凹凸です。コットン紙やクッション紙など厚手で柔らかい用紙と相性が良く、名刺やショップカードに温かみと高級感を付加できるため、ブランド価値を高めたい方に選ばれています。

活版印刷は、デジタル印刷が主流の現代においても、その独特の風合いや高級感から根強い人気を誇る印刷技術です。しかし、活版印刷の魅力や活用方法について馴染みのない方もおられるのではないでしょうか。

本記事では、活版印刷(レタープレス)の仕組みや魅力を印刷会社の現場目線で解説。印圧による凹凸感やインク溜まり(マージナルゾーン)の温かみ、クッション紙など相性の良い用紙選びまで。名刺やショップカードのブランド価値を高める理由をご紹介します。

※本記事における活版印刷の技術解説および推奨用紙の基準は、フジイ印刷株式会社が自社稼働させている「ハイデルベルク プラテン印刷機T型」等を用いた日々の印刷実績と、検証データに基づき作成しています。 

活版印刷とは?

古くからの印刷技術である活版印刷は、木の板に彫刻を施して版を作成し、インクを塗布して紙に転写する方法です。版面の彫り方やインクの量により、仕上がりが一つひとつ異なるのが特徴です。

また、インクが版の溝に溜まり、紙に転写されることで、独自の質感や深みが生まれます。インクを使用せずに版の圧力だけで凹凸を表現する「デボス加工(空押し)」もあり、独特の視覚効果が得られる点がメリットです。

活版印刷の歴史

次に、活版印刷の歴史について解説します。

・言葉の由来
・活版印刷のはじまり
・日本での普及

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

1.言葉の由来

活版印刷の言葉の由来は、活字を用いた印刷技術から来ています。「活版」は「活字」と「版」を組み合わせた言葉です。

「活字」とは、一つひとつの文字が独立した金属または木製のブロックで、印刷の際に組み合わせて使用されるものを指します。「版」は印刷のための平らな面を意味します。

日本では江戸時代に導入され、書物や新聞の普及に大きく寄与しました。

2.活版印刷のはじまり

引用:グーテンベルク聖書 - Wikipedia

活版印刷は、15世紀にドイツのヨハネス・グーテンベルクによって生み出された技術で、ルネッサンス期の主要な発明の1つとされています。この技術の出現により、以前の木版印刷や手書きによる複製とは異なり、効率的で耐久性のある方法で情報を広められるようになりました。

また、活版印刷の普及により、書籍やパンフレットなどが大量に生産され、多くの人々に知識や情報が届くようになり、文化の発展にも寄与しています。

3.日本での普及

日本における活版印刷の発展は、本木昌造の努力によるものです。オランダ語を通訳する仕事をしていた彼は、オランダから伝わった印刷技術に興味を抱き、日本語での印刷を目指して研究を進めました。

この研究をもとに本木昌造は、日本で初めての活版印刷を成功させ、その後も改良と発展に尽力しました。本木昌造の尽力により、活版印刷は日本国内で広まり、さまざまな出版物の制作を可能なものにしています。

活版印刷の3つの魅力

次に、活版印刷の魅力について解説します。

・凹凸による立体感
・文字の重厚さ
・刷りムラによる味わい

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

1.凹凸による立体感

活版印刷の最大の魅力の1つは、紙に刻まれる凹凸による立体感です。この技術では、金属や木製の活字にインクを付けて紙に押し付けます。その結果、紙の表面に独特の凹凸が生じ、触感と視覚的な深みを生み出します。

デジタル印刷が主流となった現代においても、活版印刷の凹凸の立体感は唯一無二の美しさとして根強い人気です。

2.文字の重厚さ

活版印刷は、紙にインクを押し付けて印刷するため、独特の質感が生まれます。とくに、文字のエッジ部分のインクが厚くなるため、立体感が強調され、見た目に重厚感が加わります。

そのため、同じデザインでもオフセット印刷とは異なり、活版印刷はより力強く感じられるのが
特徴です。さらに、圧を強めれば、文字や図形の輪郭がわずかに滲み、独特の魅力を持つ仕上がりになります。

最大の魅力は、強い印圧によって生まれる物理的な凹みと、文字の縁にインクが押し出されて溜まる『マージナルゾーン』と呼ばれる独特の輪郭です。現場では、0.5ポイント以下の細い線が潰れないよう、職人がその日の気温や湿度に合わせてインク量と印圧を一枚一枚微調整する泥臭い苦労があります。しかし、この手作業によって生まれるわずかなにじみやムラが、デジタル印刷には決して出せないハンドメイドの温かみを生み出します。

3.刷りムラによる味わい

活版印刷の魅力の1つに、刷りムラによる味わいがあります。活版印刷は手作業で行われる場合も多く、その過程で生じる微妙なインクの濃淡や刷りムラが、印刷物に独特の風合いを与えます。これらの不均一さは、機械的なデジタル印刷では再現できない温かみとして人気です。

また、刷りムラは視覚だけでなく触覚にも訴える要素です。紙の質感と相まって、手で触れたときの感覚がより豊かになります。このように、活版印刷の刷りムラによる味わいは、印刷物に深みと独自性を持たせる効果があります。

活版印刷に向いている3つの用紙

次に、活版印刷に向いている用紙について解説します。

・コットンペーパー
・和紙
・リサイクルペーパー

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

1.コットンペーパー

活版印刷に向いている用紙として、コットンペーパーが挙げられます。コットンペーパーは、綿を主原料とした紙で、やわらかく高級感があります。このやわらかさは、活版印刷の凹凸や細かなディテールをしっかりと表現するのに最適です。

また、コットンペーパーは耐久性が高く、長期間保存しても劣化しにくいため、重要な文書や高品質な印刷物に多く使用されています。

特Aクッション、アラベール、ヴァンヌーボなどの他に、カラープランやハーフエアなども好まれます。

2.和紙

和紙は、日本の伝統的な製法で作られた紙で、やわらかさと強度が特徴です。和紙の繊維は長く、手作業で漉かれるため、独特の風合いと高い耐久性を持ちます。この特性が、活版印刷の細かな凹凸やディテールを美しく表現するのに適しています。

また、和紙の質感は、印刷物に温かみと独自性を加えたい場合にもおすすめです。和紙の自然な色合いや風合いは、活版印刷の雰囲気と調和し、印刷物にいっそうの深みを与えます。

耳つき和紙や手漉き和紙などは活版印刷でないと印刷が難しいとされています。

3.リサイクルペーパー(板紙)

リサイクルペーパーは、使用済みの紙を再生して作られた環境に優しい紙です。この紙は、活版印刷の特徴である凹凸やディテールをしっかりと表現できる強度と質感を持っています。

リサイクルペーパーは、持続可能な資源利用を推進するため、環境意識の高い企業に支持されています。とくに、企業の名刺や広報資料、イベントの招待状などで使用される場合が多く、エコロジーの意識を示す手段としても効果的です。

板紙は近年デザイン性が高まっており、環境性も高いため活版印刷と相性が良い用紙です。大和板紙のエースボールやDKホワイト、CLOWD GRAYシリーズなど雰囲気のある仕上がりになります。

活版印刷のおすすめの使用例

次に、活版印刷のおすすめの使用例について紹介します。

・名刺
・封筒

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

1.名刺

活版印刷は、インクを紙に押し付けて凹凸を作り出すため、視覚的にも触覚的にもほかの印刷方法にはない特別な感触を名刺に与えます。この凹凸は、受け取った人に強い印象を残し、手に取るたびに高級感と独自性を感じさせます。

また、活版印刷では、コットンペーパーや和紙など高品質な紙が使用され、耐久性が高く長持ちするのも魅力です。とくに、ビジネスシーンでは第一印象が重要であるため、活版印刷の名刺はその人のこだわりを示す効果的な手段となります。

2.封筒

封筒は手紙や招待状などの外装として、最初に目に触れる重要なアイテムです。活版印刷を使用した封筒は、そのほかの封筒とは異なる印象を与えられるため、受け取った人に興味を持ってもらいやすいメリットがあります。

また、高品質なコットンペーパーや和紙を使用すれば、封筒自体の耐久性が高まり、重要な文書や招待状を安全に保護できます。さらに、活版印刷ならではの細やかなデザインやエンボス効果により、ブランドロゴや名前を美しく表現することも可能です。

活版印刷でよくある3つの質問

最後に、活版印刷でよくある質問をご紹介します。

・質問1.活字とは?
・質問2.用紙を選ぶ際のポイントは?
・質問3.活版名刺で可能なデザインや加工方法は?

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

質問1.活字とは?

活字とは、印刷のために用いられる一つひとつの文字や記号が刻まれた小さなブロックです。これらのブロックは一般的に、金属で作られており、それぞれが独立しているため、自由に組み合わせて文章を形成できます。

近年は金属板を腐食させることでデジタルデータから一体化されたブロックを作成できるようになり、デザインの自由度が上がっています。

これらの特徴から、活版印刷ではさまざまなデザインやレイアウトが可能です。また、活字の凹凸によって生じる立体感は、印刷物に独特の風合いと高級感を与えます。

質問2.用紙を選ぶ際のポイントは?

活版印刷に使用する用紙を選ぶ際は、用紙の質感が重要です。活版印刷の特徴である凹凸を際立たせるために、やわらかく厚みのある紙を選ぶようにしましょう。たとえば、コットンペーパーや和紙など、繊維が長くやわらかい紙が適しています。

次に、耐久性も考慮する必要があります。とくに、長期間保存する印刷物の場合、耐久性の高い紙を選ぶようにしてください。さらに、リサイクルペーパーなど、環境に優しい素材も、持続可能な資源利用の推進に寄与します。

質問3.活版名刺で可能なデザインや加工方法は?

活版印刷で可能なデザインや加工方法には、シンプルなデザインから特殊な加工を施したものまで、さまざまな選択肢があります。たとえば、名刺の四方の縁を色付けする「小口染め」や、紙の質感を活かした「エンボス加工」などがあります。

また、名刺の角を丸くカットする「角丸(ラウンドコーナー)加工」や、名刺の側面に金箔を付ける「天金加工」なども人気です。これらの加工技術の組み合わせにより、独自性のある名刺を作成できます。

まとめ

本記事では、活版印刷の歴史やその魅力、向いている用紙、活版印刷のおすすめの使用例について解説しました。

活版印刷は、インクを紙に押し付けて凹凸を作り出す伝統的な印刷技術です。その魅力は、凹凸による立体感や文字の重厚さ、刷りムラによる味わいなどがあります。

また、活版印刷に向いている用紙としては、コットンペーパーや和紙、リサイクルペーパーなどが挙げられ、それぞれが独自の質感と特性を持ちます。さらに、おすすめの使用例としては、名刺や封筒があり、どちらも渡す相手に特別な印象を与えることが可能です。

この記事を通じて、活版印刷の魅力や多様な応用例について詳しく理解し、名刺や封筒などの印刷物に取り入れてみてはいかがでしょうか。

フジイ印刷は、歴史ある活版印刷機を使ったオリジナル文具やショップカード、箔押しファイルなどの制作に対応しており、ビジネス向けの商品を数多く取り扱っています。

⇒フジイ印刷牛窓活版工房

この記事の監修者

吉田光咲|営業部

大学でファッションデザインを専攻し、卒業後はグラフィックやWEBデザインなど、幅広い分野でデザインの仕事をしてきました。2024年にフジイ印刷に入社し、毎日新しいことを学んでいます。お客様の視点に立って、最適なデザインを提案できる営業を目指しています。

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