特殊印刷

公開日:2026.2.25

和紙ステッカー×箔押し×オフセット印刷:デジタルでは出せない「繊維の温もり」と「凛とした箔の輝き」

商品の顔となる「ラベル」や「パッケージ」。 これらは単なる商品の説明書きではなく、作り手である皆様の「美学」そのものだと、私たちは考えています。

特に、日本酒や焼酎、こだわりの和菓子、オーガニックコスメなど、「素材」を大切にする商品において、ラベル選びは非常に悩みどころですよね。 「デザインは良いのに、シールにするとなんだか安っぽくなる…」 「プラスチックのようなテカリが、商品の世界観を壊してしまう…」

もし今、そんな違和感を抱いているなら、その正体は「質感のミスマッチ」かもしれません。

今回は、そんなお悩みを解決する「和紙ステッカー」「箔押し」、そして素材の良さを極限まで引き出す「オフセット印刷」の組み合わせについて、少しじっくりとお話しさせてください。デジタル印刷全盛の今だからこそ際立つ、アナログな「温もり」と「品格」の秘密を紐解きます。

なぜ今、「和紙ステッカー」なのか? 触覚に訴えるブランディング

人間は情報を得る時、その8割を視覚に頼っていると言われます。しかし、商品を実際に手に取った瞬間、決定的な役割を果たすのが「触覚」です。

つるつるしたコート紙や、無機質なフィルムシールは、機能的で汚れにくい反面、どうしても「工業製品」という冷たい印象を与えてしまいがちです。 一方で、和紙ステッカーには「繊維のゆらぎ」があります。

指先で触れたときに感じる、わずかな凹凸や毛羽立ち。 この微細なノイズが、人間の脳に「これは自然に近いものだ」「丁寧に作られたものだ」という安心感や高級感を無意識に伝えます。

デジタル印刷では再現できない「インクの沈み込み」

ここで、少し技術的なお話をさせてください。 「和紙のシールなら、ネット印刷で安く作れるじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、そこには大きな落とし穴があります。それは「印刷方式の違い」です。

多くの短納期・小ロット印刷で使われる「オンデマンド(デジタル)印刷」は、紙の上にトナー(色粉)を吹き付け、熱で焼き固める方式です。 つまり、「和紙の繊維の上に、プラスチックの膜を張る」ことになります。 これでは、せっかくの和紙の凹凸がトナーで埋もれてしまい、光が当たると独特の「テカリ」が出てしまいます。見た目は和紙でも、風合いが死んでしまうのです。

対して、私たちが推奨する「オフセット印刷」は、液状のインクを使用します。 インクが和紙の繊維の奥深くまで染み込むため、紙本来の毛羽立ちや質感を一切損ないません。

まるで筆で書いたかのような、紙とインクが一体化した仕上がり。 この「素材を殺さない印刷」こそが、商品を手に取った時の「あ、なんかいいな」という直感的な感動を生み出すのです。

「箔押し」がもたらす、光のコントラスト

マットで素朴な風合いの「和紙」。 そこに、硬質な輝きを放つ「金属箔(箔押し)」。

一見、正反対の性質を持つこの二つですが、組み合わせることで互いの魅力を引き立て合う、最高のパートナーになります。これを私たちは「質感のコントラスト」と呼んでいます。

「和」のデザインにおける「余白」と「箔」

例えば、真っ黒な日本酒のボトルに、白い雲龍和紙のラベルを貼ったとしましょう。 そこに金色の箔押しで「ロゴ」だけをあしらう。

和紙の表面は柔らかく沈んだトーンを作ります。その中で、箔の部分だけが光を強く反射し、浮き上がって見えます。 印刷されたインクの「色」で目立たせるのではなく、「光の反射」で存在感を出す。

これが、派手な色を使わなくても商品が棚で輝いて見える理由です。 特に薄暗い店内の照明や、冷蔵ショーケースの光の下では、このコントラストがいっそう際立ちます。

職人の腕が試される、0.1ミリの攻防

和紙への箔押しや印刷は、実は非常に難易度が高い加工です。 なぜなら、和紙は「呼吸している」からです。

湿度との戦い

和紙は洋紙に比べて繊維が長く、空気中の水分を吸ったり吐いたりすることで、微妙に伸縮します。 雨の日と晴れの日では、紙の大きさがコンマ数ミリ変わることも珍しくありません。

印刷の位置、箔押しの位置、そして最後にシールを形抜く刃型の位置。 これら全てをピタリと合わせる「見当合わせ(けんとうあわせ)」には、機械の数値だけではない、職人の経験が必要です。

フジイ印刷の現場では、その日の温度・湿度を見極め、紙のコンディションに合わせて機械を微調整しています。 繊維の隙間から糊が染み出さないように圧力を調整し、箔が繊維に負けて欠けないように熱量を管理する。 そんな目に見えない「手仕事」の積み重ねが、完成品となって現れるのです。

商品の個性に合わせた「和紙」の選び方

一口に「和紙ステッカー」と言っても、その表情は実に多彩です。 商品のコンセプトに合わせて原紙(タック紙)を選ぶ時間も、また楽しいものです。ここで代表的な数種類をご紹介しましょう。

1. 雲龍(うんりゅう)

「雲の龍」と書くその名の通り、長い繊維が紙の中に抄き込まれ、まるで雲がたなびいているような模様が特徴です。 最もポピュラーな和紙ですが、繊維の太さや量によって「荒々しさ」や「繊細さ」が変わります。 おすすめ: 日本酒、焼酎、お米、和惣菜など、素材の力強さを伝えたい商品。

2. 奉書(ほうしょ)

古くは公文書にも使われた、白くきめ細かい和紙です。雲龍のような派手な繊維模様はなく、しっとりとした上品な肌触りが特徴。 印刷の再現性も比較的高いため、細かな文字やデザインも綺麗に乗ります。 おすすめ: 高級和菓子、化粧品、慶事のギフト、上品さを重視したい商品。

3. クレープ・未晒(みざらし)

表面にちりめん状のシワ加工が施されたり、漂白をしていない茶色っぽい繊維が残っていたりするタイプです。 素朴でナチュラル、あるいはレトロな雰囲気を出すのに最適です。 おすすめ: オーガニック食品、味噌・醤油、雑貨、クラフトビール。

【プロの技】下地に「白」を引くテクニック

和紙は薄くて透けやすい素材です。そのままカラー印刷をすると、瓶の色や中身の色が透けてしまい、デザインが沈んで見えることがあります。 そこで私たちは、デザインの下に一度「白インク」を印刷する手法(白引き)をよく使います。 和紙の透け感を残したい部分はそのままに、ロゴやイラスト部分だけ白を引くことで、和紙の風合いを活かしつつ、デザインをくっきりと発色させる。 こうした細かな設計も、オフセット印刷ならではの強みです。

「耐久性」も諦めない。美しさを守る機能性

「和紙は水に弱いから、冷蔵商品には使えないのでは?」 そんなご懸念をお持ちの方も多いかと思います。

確かに、書道用の半紙などは水に濡れるとすぐに破れてしまいます。 しかし、ステッカー用に加工された和紙タック紙は、表面強度も考慮されており、さらに用途に合わせた「糊(粘着剤)」を選ぶことで、過酷な環境にも耐えうるラベルになります。

「冷食糊」と結露対策

例えば、冷蔵庫から出したばかりの日本酒の瓶。すぐに表面に水滴(結露)がつきますよね。 通常の糊だと、水分を含んでふやけたり、浮いてきたりすることがあります。

そこで、低温環境や水気に強い「冷食糊(冷蔵・冷凍用糊)」を使用します。 また、和紙自体にも耐水性を持たせたタイプを選ぶことで、「濡れてボロボロになる」という事態を防ぎます。 エンドユーザー様が商品を楽しみ、飲み終わるその瞬間まで、美しい「顔」を保ち続ける。これも品質の一部です。

ブランドの物語を語る「作品」をつくる

たかがシール、されどシール。 その一枚には、商品のこだわり、歴史、そして「お客様にこう感じてほしい」という皆様の想いが詰まっています。

デジタル化が進む現代だからこそ、あえて手間のかかる「和紙×箔押し×オフセット印刷」を選ぶ。 その選択は必ず、商品を手に取るお客様の心に「言葉にならない信頼感」として届くはずです。

私たちフジイ印刷は、ただ印刷データを出力するだけの工場ではありません。 皆様のブランドの物語を、紙とインクと箔の輝きで表現するパートナーでありたいと思っています。

「こんなざっくりしたイメージでも大丈夫?」 「ウチの商品にはどの和紙が合うかな?」

そんな雑談のようなご相談からでも構いません。 まずは、実際のステッカーの質感に触れてみてください。きっと、新しいインスピレーションが湧いてくるはずです。


この記事の監修者

吉田光咲|営業部

大学でファッションデザインを専攻し、卒業後はグラフィックやWEBデザインなど、幅広い分野でデザインの仕事をしてきました。2024年にフジイ印刷に入社し、毎日新しいことを学んでいます。お客様の視点に立って、最適なデザインを提案できる営業を目指しています。

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